「本当、気にしないでください。
ちょうど捨てようと思ってたので…」
へらり、と笑った。
…つもりだったのに。
なぜかじわりと滲んだ涙が、瞳に涙の膜をつくる。
…あれ、何でだろう。
零れそうになる涙に、慌てて背を向ける。
「ぶつかってすみませんでした!」
それだけ言って頭を下げて、帰り道を走る。
違うんだよ、これはただ、忘れるのが少し寂しいだけで。
だから、忘れるの。
ネックレスと一緒に、この未練も無くすの…!
自分に言い聞かせながら、12月の寒い風に身をすくめた。
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