不器用な彼が隠した2文字






「…この前、ごめん。悪かった」





きっと、お見舞いに行った時のことだろう。

こくん、と小さく頷いて、壁に寄りかかった。


朝比奈先輩も隣に立つ。




廊下側の壁に重心を預けて、2人で夕焼けが差し込む窓の方を見ていた。






「あの日、織花に会ったんだって?」



「は、い…」




織花、って、自然に呼ばれた名前にきゅっと胸が痛んだ。


名前で、呼び合える。

それだけだって、私からしたら羨ましくて仕方ない。