「そうだ、小日向、今日日直だろー?
黒板消しと戸締りよろしくな」
帰りのホームルームで先生に言われて、盛大なため息をつく。
「はぁい…」
紫乃は用事があるとかで先に帰っちゃうし。
誰もいない教室で渋々黒板を消していると、ガラ、と開いたドア。
何気なく目を向けると、壁に寄りかかった朝比奈先輩がいた。
「っ!」
焦ったせいでガタガタッと黒板消しや積んであったノートを落としてしまう。
「あぁっ」
慌ててノートを拾い集めていると、伸びてきた大きな手が散らばったノートを集めてくれた。
「ありがとう、ございます…」
この前のキスのせいだ。
こんなに近くにいると、あの時のことを思い出してドキドキする。



