「ねえ…!」





朝比奈先輩の家から帰ろうとすると、背中から声をかけられて立ち止まる。


振り返ると、そこには朝比奈先輩の彼女…らしき人。



ツヤツヤの黒髪、女の子らしい服、鼻にかかった声。

ドクン、と心臓が跳ねた。






「えっと…何か…?」



「……何で、理生くんの家から出てくるの?」







朝比奈先輩に向ける笑顔とは違って、挑むような視線で睨まれて、思わず目をそらす。





「プリントを、届けに…」



「家まで入る必要あるの?」





私よりも背は小さいはずなのに、威圧感がある。


やっぱり彼女なんだな。



彼女だったら、他の女の子が彼氏の家に入ったら嫌だよね…。