「…あ、の」 掴まれた手首から、熱が身体中に広がる。 「……あーもう、面倒くせえ」 くしゃっと顔を歪めて、そう吐き捨てるように呟いた朝比奈先輩は、 ゆっくり、焦らすように顔を近づけて マスク越しに、私の唇に自分のそれを重ねた。 「っ……」 突然のことに状況が理解できない。 目の前には朝比奈先輩の顔があって。 マスク越しとはいえ、わずかな唇の感触にドクンと心臓が跳ねた。