「アイツ、小日向ちゃんに避けられ始めてからすげぇ機嫌悪くて…
何だかんだ小日向ちゃんのこと可愛がってたから、結構寂しがってると思うんだよね。
だから行ってくれたら喜ぶと思って」
にっこり笑いながらそう言った彼は、その笑顔に似合わず強引にプリントを押しつける。
「そんなこと…ないと思いますけど…」
だって朝比奈先輩、彼女いるじゃないですか。
言いかけた言葉は、先輩によって遮られる。
「あいつ素直じゃないから分かりにくいけど、小日向ちゃんのことは大好きだと思うよ。
ほら、これ住所。
じゃあよろしくね♪」
住所と、簡単な地図を私の手に押し付けてさっさと帰ってしまった。