不器用な彼が隠した2文字





「理生くんに会いたかったの…」






その言葉を聞いた瞬間、くるりと2人から背を向けた。


これ以上聞いてたら、きっと泣いてしまう。





2人の視界に入るくらいには近くにいるのに、私の目には2人しか見えてないのに。


それなのに、2人は、朝比奈先輩は、私がここにいることに気付いてすらいない。




反対側の校門から外に出て、もう一度振り返ると、2人は通学路を並んで歩いていた。






「っ…」




しょっぱい雫が自分の唇にあたって初めて、溢れていた涙に気付いた。