宗矩が皆に告げる。


「今日から、おぬしらは十兵衛御抱えとする。よいな」


宗矩は皆にそれを伝えるために、彼らを屋敷へ呼んだのだ。


言うべき事を言った宗矩は、そそくさと部屋を出て行く。

十兵衛はその姿を見届けると、ごろんと横になり、鼻をほじりながら言った。


「あー、めんどくせえなあ」

「……」


虎之助たちは唖然となりながら、十兵衛をながめるのだった。


そこまで話を聞いた利巌は、ため息をつく。

虎之助の話は続く。


「ひと月ほど前に、十兵衛様が我らのところにやって来ました」


十兵衛御抱えの身となっても、まったく仕事のない日々を過ごしていた皆は、十兵衛のいきなりの訪問に驚いた。

まさか十兵衛本人が出向いて来るとは、夢にも思っていなかった彼らである。


「久しぶりじゃのう。皆、元気か?」


みんなは、十兵衛のもとに集まってくる。