少し小走りで歩く私、真田 音希(さなだ おとね)は、今年高校生になった。4月も、もう終わるというのに友達一人できない。


高校に入ってから少し涙もろくなった。無償に寂しくなって泣きたくなった。別に、友達がいないとかいうのではなかった。


心にぽっかりと穴が空いたような寂しさがあった。わからかい、分からないけど。辛くて、苦しかった。


そんな風に考えているうちに、校舎裏付近についた。父親譲りの色素の薄い髪が視界をふせぎ、邪魔をする。


少しブカブカしている真新しいブレザーが今だ慣れない。早く、慣れたいな。


なんて、思いながらも右に曲がる。右に曲がるともう校舎裏。ほぉら、誰も居な……。


「あれ、珍しく人が来た」


居ました。