「うん?どうした?」




「あ、顔を洗おうと思って」




そんな私に声を掛けてくるチヒロさんは立ち上がると私に近づいて来る。





その姿はスーツ姿で、もしかしてチヒロさんは私が熱なんか出してここにいるからキョウヤの代わりに仕事に行かないでいてくれてるんじゃ…





「熱はもう大丈夫なの?」




「はい、下がりました。あのチヒロさん…もしかして私のせいで仕事…」





私が何を言おうとしたのかチヒロさんは分かったのかもしれない。





「今日はパソコン業務が丁度多かったからさ」





ニコリと笑うその笑顔はやっぱり素敵で大人な男性で、私に気を使わせないようにしてくれてるんだと思う。




「顔洗っておいで」





私の頭にポンっと手を置くと、優しく背中を押してくれた。





きっとチヒロさんの恋人になる人は幸せなんだろうな