溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「そうですか~?」

「そうだろう」

「……ちょっと嬉しいです。
 今のが私のことを好きなんじゃなくて、ちょっと気が迷っただけだとしても」

「お前、ちょいちょい嫌味を混ぜてくるな」

 だから、ストレスたまらないんだろうな、と言ってくる。

「ありますよー。
 ストレスありますよー。

 課長にだって、いっぱい言いたいことあるのに、なんだかいつもうまく言えないし」

「いや、死ぬほどしゃべってるようだが、いつも……」

「心の中には、もっとこう、言いたいことが山のようにあるんですよ。
 でも、言葉にすると、一言なんです」

「どんな?」

「課長、大好きです」

「手がだろ」

「手と演奏が」

「……そうか。
 酔って、べらべらしゃべってるだけだから、それが本心なんだろうな」
と言ってくる。

「いや、ほんとに好きなんですってば」
と腕をつかむと、はいはい、と昌磨は歩き出す。

 振り返り、
「まあ、キスのひとつもできるようになってから、そういうことは言え」
と言ってくる。

「わかりましたっ。
 トラウマを克服できるよう、頑張ってきますっ」

「何処で頑張ってくるつもりだ。
 練習してこなくていいんだぞ!?」