溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「よしよしくん、責任とって送ってくれるって言ってたけど」

「……死んでも送られるな」
と昌磨は言ってくる。

 そこで、駅の明かりが見えて、花音は笑う。

「課長、駅です。
 着きました」

「嬉しそうに言ってるが、駅に着いただけだからな」

 問題は、此処からだろ、と言ってくる。

「大丈夫です。
 帰れますよ」

「また根拠のないことを……」

 心配するな、送ってやる、と昌磨は言った。

「でも、課長、明日も仕事なのに、遅くなりますよ?」

「同じ方向だから大丈夫だ」

「そういえば、課長はどちらにお住まいなんですか?」

「訊いてどうするんだ。
 遊びにでも来るのか」

「ははは。
 そうですねえ」
とよくわからない返事をして、笑ったとき、昌磨が足を止めた。

「課長?」
と見上げると、腕をつかんで引き寄せた昌磨がふいに口づけてくる。

 一瞬、動けなかったが、次の瞬間、昌磨を突き飛ばしていた。

「すみませんっ。
 私、男の人、駄目なんですっ」

 思わず、そう叫ぶと、
「じゃあ、なんで告白してきたっ!?」
と言った昌磨だったが、

「……そういえば、手だけが好きなんだったな」
と呟いていた。