溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「そういえば、花音さんて、カノンって名前だけど、なにか楽器できるの?」

「いやー、できるってほどのものはないかなあ」

「ピアノは?」

「習ってたけど、あんまり弾けないかな」

「……何故、習ってたのに弾けないとかいう事態が起きるんだ」
と昌磨に言われ、

「拓海と一緒に習ってたんですよ。
 レッスンバック持ってって、持って帰って、開けることなく、また翌週持ってって」
と言うと、良に、

「あー、駄目なパターンだねえ」
と言われる。

「何度かバックを忘れて帰って。
 しかも、忘れて帰ったことに、何日も気づかなかったりとか」

「月謝をドブに捨ててるようなものだね」

 親御さんたちがさぞ、悲しまれただろうにね、と言う。

「そうだねえ。
 自分が親になったら、そう思うのかもね。

 でも、あんまり怒られた覚えもないかな。

 練習はしないけど、楽しそうに行ってたからかも。

 ほんと楽しかったよ。
 行きと帰りが。

 みんなでバスに乗って通ってたんだよ」
と言うと、良は、

「まあ、習い事なんて、そんなものだよね。
 半分は友達と遊びに行ってるようなもんだったよ、僕も」
と同意してくれたが、昌磨は理解できないらしく、渋い顔をしていた。

 まあ、私の場合、半分どころか、八割くらい遊びだったが、と花音は思う。