溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「一緒に居て、楽しそうじゃない」

「楽しいですよ、拓海と居ると。
 喧嘩も多いけど。

 でも、課長と居ても楽しいですよ?」

「……あんたは楽しくやれそうね」

 きっと、緊張もしないんでしょうね、と言われ、
「いや、しますよ〜。
 二人で歩いたりすると、手と足が一緒に出そうになります」
と言うと、香穂は、ははは、と笑った。

「やっぱり、あんたでもそうなの?」
と。

 余程、神経が太く見えたようだ。

「課長って、気難しい……気難しいかなあ?」

 あの情熱の貴公子は。

 普段は、ほんとにクールな感じだからな、と思った。

 それでも、あんな演奏をしてたってことは、ああいう部分が課長の中にはあるんだろうな、とは思う。

 見てみたいような気もする。
 そんな課長を。

「おはようございますー」
とやってきた他の女子社員が、楽しげに話している自分と香穂を見て、ぎょっとする。

 昨日までは、あまり仲良い方ではなかったからだろう。

 だが、こうして話してみると、香穂とは意外と話が弾む。

 人間っていうのは、深く付き合ってみなければわからないものだな、と改めて思った。