溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 いてて、と立ち上がりかけた花音は、おや、と思う。

 なにかこう、視線を感じたからだ。

 だが、辺りを見回しても、それらしき人影はない。

 そもそも、一昨日ほどではないが、混んでいて、よくわからない。

「いつまでもしゃがんでると、また、オッサンの尻に弾き飛ばされるぞ。

 ……立ち上がったら、宙に浮くし、まったく」
と拓海は溜息をついて言う。

「悔しかったら、あんたも満員電車で宙に浮いてごらんなさいよ〜っ」
と言うと、浮けるかっ、と怒鳴られた。

 まあ、こんなデカイ男が持ち上がるのは無理かな。

 私だって、平均身長以上はあるんだが、と拓海を見上げる。