溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「そういや、昨日の電話、なんだったんだ?」

「昨日の電話って?」

 課長からの電話だよ、と言われる。

「なにを『取りに行きます』なんだ?」

「え……」

 こいつ、余計なこと聞いてるな〜と思った。

「いや、会社に荷物、忘れちゃってさ」

 会社ね、と拓海は冷ややかな目でこちらを見、
「お前の部署にはマスターが居るのか」
と言ってくる。

「……じゅ、樹海から出てきた、ものすごい技術を持ったパソコンマスターが」

「マスター違いだろ」
と小突かれる。

「吐け」
「やだっ」

「なんでだっ」

「課長と内緒にしとくって約束したからっ。
 ……いたっ」

 足を踏まれた。

 思わずしゃがみ込む。

 てめ〜っ、と小学生のときから、全然やることの変わらない幼馴染を睨む。

 香穂さん、こんな男でいいんですか、ほんとに!?

 顔だけで選ぶと苦労しますよ、と思ったが、手だけで選ぶあんたに言われたくないと言われそうだな、と思った。