溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「無理っ」
と二人で叫ぶと、

「兄妹なのに、いいじゃないの」
と言ってくる。

 なんという大雑把な親だ。

 さすがの兄も呆然とキッチンの方を見ながら、
「親の頭の中では、子供って、永遠に小学生くらいなんだな」
 自分が親になったときは気をつけるよ、と呟いてた。

 花音の頭に入浴剤を置き、
「泡風呂にしてもいいが、早く出ろよ」
と言ってくる。

「お前、泡風呂にすると、長いんだよ」

 そう素直に譲られると、申し訳なくなってくる。

「おにいちゃんこそ、先に入りなよ。
 長旅で疲れたでしょ」

 気を使って言ったのに、不気味がられた。

「どうした花音。
 なにかいいことでもあったのか」

 いや……いいことがなければ風呂を譲らないなんてことはないんだが。

 母親だけではなく、この兄の頭の中では、自分は幼児のままのようだった。

「彼氏でも出来たか」
「出来るわけないじゃん」

「だよな」
と言ってくる。

 だよなってなんだ。

 まあ、確かに、この兄と違って、あまりモテた覚えはないが。