溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 脱衣場兼洗面所の外に兄、彰人(あきと)が立っていた。

「お、おにいちゃん、いつこっち帰ってきたの?」

 彰人は、普段は仕事の関係で、他県に住んでいる。

「急な出張でこっち来たから寄った」

「予告してよ、もう〜」

「一昨日、言ったぞ。
 お前が家に居なかっただけだろ」
と言われる。

 そこで、風呂に行こうとした花音は、待て、と入浴剤をつかまれた。

「また風呂を泡まみれにする気か」

 俺はまだ入ってないんだ、と彰人は文句を言ってくる。

「えーっ。
 なんで先入っとかないのよー」
と言うと、キッチンの方から、

「彰人は今、あんたが帰るちょっと前に帰ってきたのよー」
と母親の声がした。

「じゃあ、おにいちゃん、先に入ってよ、5分で」
「何故、5分!?」

「私が最後に入ってあわあわにするから」

「5分で入れるかっ」
「お母さん、5分だよ」

「俺はゆっくり入りたいのっ」

「もううるさいわね、あんたたちは〜」
と母親の声が割り込んでくる。

「じゃあ、一緒に入りなさいよ」