溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 あの出来の良さそうな課長とこいつなんて、絶対上手くいかないだろうと思って、応援するフリをしていたが。

「おい、花音っ」
と言ったとき、また花音の携帯が鳴った。

 また課長か!? と身構えると、
「あ、おかーさん。
 うん、入る入る」
と言っている。

 どうやら、冷めるから風呂に入れと言われたようだ。

「じゃあね、拓海。
 お邪魔しました。

 あ、カップ貸して下げとくから」

「い、いいいよ。
 まだ俺は飲むから」

「あ、そう?」
と笑って、花音は、自分のカップの載ったお盆を手に立ち上がる。

「いい日が決まったら教えてね。
 あ、でも」
とちょっと困ったように小首を傾げて言う。

「嫌だったら、無理しなくていいからね」

「……いいよ、行くよ」

 自分が断ったら、花音が困るだろうと思い、そう言った。

 久しぶりに花音とも呑めるしな。

 近所で幼馴染だ。

 いつも顔を合わせているから、呑みに誘うなんて、逆に出来なかった。

 江波さんには、誰か俺より良さそうなイケメンをあてがっておけばいいだろう。

 たぶん、そんな本気でもないし、と自分に対する香穂の態度を思い返しながら考える。