「すみません。
送っていただいて」
外に出て、少し酔いが覚めた花音が神妙な面持ちで言うと、
「いや、いい」
と昌磨は言う。
しかも、また、山のような紙袋を持ってもらっていた。
「申し訳ありません」
と言うと、
「花音、お前人懐っこいのはいいが。
少しは警戒しないと、変な奴に連れ去られるぞ」
と言ってくる。
変な奴に連れ去られるって、私、子供じゃないんですが……。
「いや、私、普段は初対面の人には、ちょっと照れがある方なんですが。
お酒の力でしょうかね……。
って、変な人って、誰ですか?」
昌磨は渋い顔で、
「良だろう」
と言う。
ははは、と花音は笑った。
「今、人の良さそうなご夫婦が、実はイタリアンマフィアでって想像しちゃいましたよー」
と言うと、
「イタリアンマフィアがお前をさらって、なんの得があるんだ」
と言ってくる。
そこで、花音は、あれ? と昌磨を見上げた。
「そういえば、花音になってる……」
と呟くと、昌磨は少し赤くなり、
「良につられたんだ」
と言う。
あいつが、花音さんとか言うから、言い訳のように昌磨は言った。
「花音でいいです。
花音にしてください」
そう笑うと、昌磨は目を逸らした。
「お前も店で課長はやめろ」



