溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「課長」
「昌磨」

「……昌磨さん」

「ところで、なんで、さっきからずっと玄関なんだ」

「かち……昌磨さんが上がらないからですよっ」
と言うと、いきなり抱き上げられる。

「うわっ、もうちょっと!」

 カーテンが開いたままの昌磨の部屋からも夜景が綺麗に見えた。

 それを見ながら花音は言った。

「あのエレベーターでなら大丈夫かなってちょっと思ったんです、あのとき」

 え? と昌磨が見る。

「あのエレベーターに乗ると、元より不安で前後不覚になってますしね。
 思ったより、夜景も綺麗だったし。

 出来るかな、と思ったんですけど」

「なにを」
と言われて赤くなる。

「……お兄ちゃんが、相手からキスされるのが嫌なら自分からしてみろって」

「してみろ」

「なに真顔で言ってるんですかっ」

 できませんよっ、と言うと、昌磨は花音を抱いたまま、窓際に行くと、掃き出し窓を開けて、ベランダに出る。

「ほら、此処も高いぞ」

「やめてくださいっ。
 端に行くのは〜っ」

「夜景も綺麗だ」

「無理ですって!
 こんな外でなんて、人から見えるかもしれないしっ」