溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「初めて見たときは、あの手を見てときめきました。

 でも、それって、たぶん、その手から、子供の頃の貴方の演奏を連想したからですよ。

 私はあの人より前に、『情熱の貴公子』の手に恋してたんです。

 だから、あの人の手を見てときめいた。

 顔も正直言って、すっごい好みだったんですけど、全然ときめかなかった。

 昌磨さんの方が千倍格好いいからですっ」

 花音は昌磨の手を取り言った。

「私は、助けてくれたあの人の手じゃなくて、昌磨さんの手が好きです」

 そっとその手を自分の頬に当ててみる。

 目を閉じると、昌磨の体温がより伝わってきた。

「手だけか」

「顔も好きです」

「うん。
 そういう訂正はやめろ」

 花音は目を開け、昌磨を見つめて言った。

「全部好きです」

「……最初からそう言え」

 昌磨は花音の頬にその手で触れ直すと、口づけてくる。

 もう逃げようなんて思いは湧かなかった。

 昌磨の腕に抱きしめられ、花音は言った。

「なんで、助けたの自分じゃないって言ってくれなかったんですか。

 こんな回りくどいことして」