「おはよう」
翌朝、仕事を始めてすぐ、拓海が花音の許にやってきた。
はなから機嫌が悪い。
「これ、おばさんから」
とコンタクトの液とケースをくれる。
「あ、ありがとう」
「昨日は、江波さんちに泊まったそうだな」
「ああ、そうなんだけど……」
と言い終わらないうちに、拓海は、
「江波さーんっ」
と香穂を呼ぼうとする。
わあっ、やめてっ、と花音は立ち上がった。
前で、部長と話していた香穂が振り向く。
「な、なんでもありませんっ」
と大きく手を振ってみせた。
腕を組み、こちらを見下ろして拓海は言う。
「随分な急展開だな。
キスのひとつも出来ない奴が泊まってくるとか」
ひーっ。
黙ってーっ、と拓海の口を塞ごうとしたが、ひょいと逃げられる。
「あ、あんたに関係ないでしょ」
と言うと、
「あるだろう。
お前、今までの話の流れで俺に関係ないわけないだろうが」
と言う拓海を、
「とりあえず、此処から出てよっ」
と外へと押し出した。



