溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「お前が俺とキスできないのは、本当は、引っかかってることがあるからじゃないのか?」

「え」

 昌磨はひとつ溜息をついてから、床を見ながら言った。

「俺はお前と出会ってから、自分の嫌なところばかり発見するよ」

「奇遇ですね。
 私は課長と出会ってから、課長のいいところばかり発見してますよ」

 ちょうどいいですね、と花音は微笑む。

「楽天家だな」

 いっそ、呆れたように昌磨は言った。

「はい。
 悩んでも後悔しても、しなくても、同じ一日ですから。

 だったら、楽しく生きた方がいいです」

「花音」
「はい」

「お前が公明正大に行きたいというのなら、俺もそうしよう。
 今、ものすごくお前とキスしたいんだが、どうしたらいいと思う?」

 えーと……と花音はつまった。

 それはさすがに、公明正大に訊かれても困るな、と思ったとき、エレベーターは地下に着いていた。

「うーん。
 ……してみたら、いいんじゃないでしょうか」
としか言いようがない。

「そうなのか?」

「が、頑張ってみます」