溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜



「見たわよ」

 は?

 月曜日の朝のことだった。

 ど、どれをっ、なにをっ、と思いながら、トイレの洗面台の前で、花音は、おどおどと香穂を見る。

「埠頭を課長と手をつないで歩いてたじゃない」

「なっ、なんでそんなところに居たんですかっ」

「いや、日曜だから、男の子たちと出かけてたのよ。
 ……なによ、その非難がましい目は」

 グループでよ。
 いいじゃない、と香穂は言う。

「でも、改めて、拓海くんがいいと思ったわ。
 格好いいし、話も面白いし。

 それにしても、あんなところに現れないでよ。
 結構楽しくやってたのに、課長見たあと、また見たら、彼らがイマイチに見えちゃったじゃないの」

 それなりイケメンくんたちだったのに、と言う。

「まあ、でも、あんたも黙ってれば普通の綺麗なおねえさんだから、すごいさまになってたわよ。

 そして、私もあんな風に拓海くんとデートすると決めたのよ、頼むわよっ」
と肩を叩かれた。

 い、いや、頼まれても。

 そういえば、いつの間にか、香穂は、拓海を『拓海くん』と呼んでいる。

 コンパが決まって、テンションが上がっているのだろうかな、と思った。

「あのー、そのメンバー、香穂さん以外にも、会社の人居ました?」

「ん?
 居たけど?」