溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜




 外でキスしているカップルとかを見て、莫迦じゃないのかと思っていたが。

 どうしよう。
 今、キスしたい、と昌磨は思っていた。

 車は食事をする予定のレストラン近くに止まっている。

 埠頭が見えた。

 また逃げられるだろうか、と迷う。

 仕事なら、すぐに決断できるのに。

 花音。

 ほんとこいつに関わってからは、振り回されてばっかりだ、と思った。

 自分で告白しておいて、手しか好きじゃないとか言ってみたり。

 ……いや、そうは言ってないか。

 だが、確実に、そうとしか思えないような態度をとってくる。

 そして、今は手と演奏が好きなんだったか。

 で、あとは、なにを好きになったら、俺のすべてが好きだと思えるようになるんだろうな、こいつは、と横目に花音を見た。

 多少、怒りと不満もぶつけて、強く手を握ってみたのだが。

 怒りと不満の部分はあまり伝わらなかったのか。

 花音は、ただ恥ずかしそうにうつむいた。

 そんな花音を本当に可愛いと思う。

 まあ、こんな子に無理強いはよくないか。

 拓海の存在と、自分にやましいことがあるせいで、焦り過ぎてしまっているのだろう、きっと。

 そう思った。