溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「実はもなにも、明らかに緊張して見えたが」
と言ってくるので、

「緊張していたのは、別の理由ですよ」
と言った。

「別の理由?」

「だって、なにかこう、昌磨さんの手を見ると、どきっとしちゃって。

 あれって、電車の中で助けられたからかと思ってたんですが、もしかして、昔、昌磨さんを見てたときの記憶が残ってたからなんですかね?」

「いや……子供のときと今ではさすがに手が違うだろう」

 そうですか?
とつい、左手をつかんでしまい、

「花音、運転中だ……」
と言われる。

「ああっ、すみませんっ」
と慌てて手を離した。

「いや、オートマだからいいんだが。

 ……いきなり、手とかつかまれると、どきっとするから」
と言ってくる。

 いやいやいや。
 そんな、私ごときが手を握ったくらいで、そんな風に思ってくださらなくてもっ、と変にへりくだってしまう。

「さっき、緊張してたって言いましたけど、今もまだ緊張してますよ、私は」

「そうか。
 奇遇だな、俺もだ」

 ええっ。
 本気ですかっ?