溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「いつも私がするわけではないんですが。

 こんな明らかに、私、ひとりが美味しいもの食べてきそうなときには、拗ねて文句を言うんですよ。

 俺をほったらかしにして、とかなんとか言って」

 あの兄がそう言ってぐずるところがリアルに想像できたのだろう。

 昌磨は笑った。

「でも、お兄さんも電話に夢中でそんなこと思わないんじゃないか?」

「うまくいってればいいんですが。

 さっきの、兄の怒号も彼女に聞こえていたんじゃないかと、私は心配で心配で」

「面白いな。
 二人がお互いを頼りないと思って心配してるのが」
と言われ、はあ、と言う。

「私、おにいちゃんは、もっと、恋愛問題でも長けてる人だと思ってたんですけどね」

「それだけ本気だってことだから、いいじゃないか」
と昌磨は言う。

「昌磨さんって、なんでも悪いようには言わないですよね。

 だから、一緒に居て、嫌な気持ちになったことがないです」

「でも、最初は怖いと思ってたんじゃないのか?」
と言われ、

「はい、実は」
と白状する。