少し車を走らせたあと、港近くのお店で食事をして、花音の好きな雑貨屋を覗いて、それから楽器店に行ってみようという話になった。
「まるで、デートみたいですね」
と喜んだ花音が手を叩くと、
「……デートじゃないのか」
と昌磨が言ってくる。
「あ、デートなんですかね」
そう、うつむき、赤くなる。
改めてそう言われると、緊張するな、と思っていた。
「花音」
「はっ、はいっ」
「その授業中、先生に当てられたみたいな反応はやめろ」
「はいっ」
と勢いよく返事をすると、昌磨は笑い出す。
ああ、やっぱり素敵、と笑う昌磨の横顔を見ながら花音は思った。
ずっとこうして、昌磨さん、見てたいなー。
手をつながなくても、キスもしなくても、私はこれで結構幸せなんだけど、と思いながら、ちら、と昌磨を窺う。
「あ、そういえば、お兄ちゃんのご飯、用意してくるの忘れました。
怒ってるかな」
「いつもお前がしてるのか?」
「そういうわけでもないですけど。
お兄ちゃんの方が料理上手いですしね」
と言うと、
「だろうな」
と言われる。
昌磨さん、微妙に傷つきます……。



