溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 お茶は下で散々飲んで来たしな、と悩んでいると、昌磨が、
「花音」
と呼んでくる。

「はっ、はいっ」
と緊張して答えた。

「そういえば、お前、ドラムの練習って、どうやってやってるんだ?」
「はいっ?」

 昌磨は部屋を見回し、
「ドラムセットは何処にもないが、どうやってドラムの練習してるんだ?」
と訊いてくる。

「あ、それはですね、あの。
 スティックはあるので、こう、空中を叩いて練習するんです」
とやって見せると、ほう、と昌磨は興味深そうな顔をする。

 本棚に置いていたスティックを持ってきて、花音は、ベッドに腰掛けると、いつものように、叩く真似をしてみせた。

「こんな感じで」
とやって見せると、

「なるほど」
と頷いたあとで、昌磨は、

「ドラムだから仕方が無いが、あまり足は開かない方が」
と言ってきた。

 し、しまったっ。

 今日はちょっとスカートが短かったか、と思って赤くなり、慌ててスティックを戻しかけ、
「そうだ。
 昌磨さんもやってみますか?」
と言うと、いや、いい、と言う。