「おにいちゃんは簡単にできるのね」
と言うと、

「……できるかっ」
と言うので、笑ってしまった。

　だが、心配をかけたのは本当のようなで、機会があれば、彼女さんとの仲をとりもってあげたいな、と思う。

　いや、まず、自分の心配をしろと言われそうだが。

　兄が後ろに見張りで立ち、貴公子に、いや、昌磨に電話をする。

　ちょっと会いたいんですが、と言うと、昌磨はすぐに承諾してくれた。

　携帯を置いて、一息つくと、後ろから彰人が、

「ほら、みろ。
　待ってたろう」
と勝ち誇ったように言ってくる。

「た、たまたま暇だったんじゃないの？」
と言いながらも、嬉しかった。