「日曜だと言うのに、お前とは全然違うキュートな俺の彼女……にはまだなってないが、将来嫁になる予定の女を放ってまで此処に来たんだ。

 どっかの男に持ってかれたら、どうしてくれるっ」

「いや、だから、連れてくればよかったじゃないの」

「だから、まだ、彼女じゃないと言ってるだろうがっ」

「……おにいちゃんって、意外とおくてね」

「お前の兄だからな。
 不気味な想定だが、お前と俺がカップルだったら、どうにも話が進まないだろうな。

 お前、やっぱり、拓海がいいんじゃないのか?」

 また急にロクでもないこと言い出したな、と思っていると、

「あのくらいガンガン来る男じゃないと、お前みたいな、ぼーっとした奴は話が進まないぞ」
と言う。

 まあ、それはそうかもしれないが。

「お前が自分から貴公子を誘うくらいじゃないと」

「あのねえ、私にそんなこと出来るわけないじゃないの」

「なんでも、やってみなきゃわからないだろ。

 拓海のことがトラウマなのなら、豹変した向こうが迫ってくる前に、自分からキスのひとつもしてみたらどうだ?」

 いや……無理でしょう、と思っていると、
「一度やってみれば、わかるさ。
 たいしたことじゃないって」
と彰人は軽く言ってくる。