溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「驚いたからよ。
 拓海がそんなことするなんて思ってなかったから。

 でも、ごめんって言って、それぎりその話は出なかったから、きっとなにか気が迷ったんだなと思ってた」

「そりゃ、それ以上言わなかったのは、また逃げられたら、ショックだからだよ。

 それくらいなら、今まで通り、仲良くやっていきたいと思ったから。

 それに、もしかしたら、俺を嫌いだから、逃げたわけじゃないかもしれないじゃないか」

 単にお前が潔癖性なだけかもしれない、と拓海は言ってくる。

「お前、課長とはうまく行ってんのか?」
と言われ、花音はブラシを握りしめた。

「……行くわけないじゃん」

「結局、お前、誰でも駄目なんじゃねえの?」

 そう言った拓海に、思わず、ブラシを投げつけていた。

「拓海のせいじゃんっ」
「ああ?」

「拓海のせいで、トラウマになってるんじゃんっ。
 相手が昌磨さんでもなんにもできなくてっ。

 私なんて、本当に駄目人間なんだなって思い知らされてっ。

 全部、拓海が莫迦なことしたからじゃんっ」

 そう叫んだあとで、正気に返り、

 ……ごめん、と言う。