溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 


 いい天気だな。

 爽やかな日曜の朝。

 新聞を取りに花音が外に出ると、何処からともなく、鼻歌が聞こえてきた。

 いつも拓海がカラオケで歌っている曲だ。

 ひょい、と塀の上から覗くと、拓海がイヤフォンをつけて鼻歌を歌いながら、靴を洗っている。

「随分、いっぱいためてたのね」
と言うと、うわっ、とこちらを見た。

「花音」

「いいなあ。
 私も洗って欲しいわ」
と言うと、

「お前、洗えるような靴持ってないだろうが」
と言ってくる。

「そうね。
 じゃあ、磨いて」
と言うと、この兄妹は〜と顔をしかめてくる。

「え?
 兄妹?」
と訊き返すと、

「これ、半分は俺の靴じゃねえよ」
と立ち上がった拓海は、水でも飛んだのか、自らの腕で、鼻をこすりながら言った。

「え。
 もしかして、お兄ちゃんの?」

「ついでにこれも洗ってくれって、持ってきたんだ」

「なに素直に受けてんのよ」
と言うと、拓海は言いにくそうな顔をする。

 まさか……。