溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜




 今日もまた、二人であの線路沿いを歩いて帰った。

「……オモチャのサルじゃなかったな」
と歩く道々、昌磨が言う。

「ま、技術的にはともかく」

 そう付け足されたが。

 ですよね〜……。

「だが、この細腕にしては、深いいい音だったな」
と褒めてもらった。

 嬉しいのだが。
 昌磨は感心したように、花音の腕を目の高さまでつかみ上げ、マジマジと眺めている。

「や、やめてください。
 刑事さんに確保された瞬間みたいな体勢になっているので」
と言うと、放してくれた。

「腕力は関係ないらしいですね。
 ドラムって、腕の振り方とか、スティックの握り方次第で、かなり大きな音が出るみたいですね」

「人間、なにか芸があるもんだな」
と言う昌磨に、

「いや、それ、あんまり褒められた気がしませんが……」
と訴える。