溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「あるよ、そこ、ドラム」

 ええっ、と花音は身を引いた。

「ちょっと叩いてみてよ」

「いやー、こんな凄い店で叩くのはちょっと」
と遠慮したが、

「いいよねえ、マスター。
 誰も居ないし」
と良はマスターに確認をとる。

 マスターが微笑み促すので、花音は、引くに引けなくなってしまった。

「じゃあ、僕が合わせて、弾いてあげようか。
 昌磨さんじゃ緊張するだろうから」

 そう言いながら、良は奥から電子ピアノを引っ張ってくる。

 マジですか……。

 まさか、こんな展開になるとは。

 こんなことなら、一人で電車で帰ればよかった、と今更ながらに思っていた。