溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

「なにそんな今更なこと言ってんだよ」

「……あんた、殴るわよ」
と拓海を笑うと、少し笑って前に腰を下ろした。

「お前、本当に課長が好きなんだな」

「いや、そこのところはよくわからないんだけど。
 だって……」

 本当に好きだったら、キスのひとつもできそうな気もするのだが。

 でも、課長が一番大事で、あんな風な顔を見ると、なんとかしてあげたいと思うのもまた、本当だ。

 溜息をつくと、
「まあ、落ち着いて、よく考えてみろ」
と拓海は言う。

「本当に課長の手だけが好きなのかもしれないじゃないか」

「いや、そっちに話戻す?」

「花音」

 ん? と見ると、いや、なんでもない、と言う。

「なにかこう、世の中うまくいかないわよね」
と花音が側にあったベッドに倒れ込むようにすがると、拓海は、

「そんなのお前だけじゃない」
と言ってきた。

「俺なんか人生の最初からうまくいってないぞ。
 初恋の女の子には振られるし」

「へー、そうなの。
 昔から、結構モテるのにね」
と言うと、いきなり、拓海は頬を引っ張ってきた。

「いーたたたたた」