溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 いつものように、いざと言うときには、やさしい拓海に、
「大丈夫、ごめん。
 なんでもないから。

 その江波さんを好きな人、コンパ、連れてきてね」
と伝える。

 香穂は、拓海とうまくいかないのなら、誰でもいい感じだったから、来てもらっておいた方がいいだろうと判断したのだ。

「おやすみ。
 もう寝るから」
と電話を切る。

 階段を上がりながら、暗がりの電話を振り返る。

 やっぱりちょっと悪かったかな、と思ったのだ。

 薄情な両親はさっさと寝ている。

 ご飯は食べたのかと訊くこともなく。

 花音はひとつ溜息をつき、再び階段を上がった。