溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜

 ゆっくりと唇を指先でなぞる。

「手ならいいんだろ?」
「……昌磨さん」
と花音は昌磨の身体に回した手に力を込めた。

 こんなに大事な人をうまく慰められない自分に腹が立ったり、悲しかったり。

 とりあえず、なにを口に出せばいいのかもわからなかった。

「もう帰れ、花音……」

 そう言いながらも、昌磨は花音を抱き締めていた。

 さっき店で聴いたのと同じ曲が静かに部屋に響いていた。