それでも好きなんです。

「なんだ、いたのかよ」

 声のした方を見たら、航太がいた。

「悪い?」

 自然と声に怒気が含まれる。

 あぁ、またやっちゃった。
 
 航太と話をすると、どうしても素直に

なれない。好きっだって意識すると、恥

ずかしくてうまく話せないんだ。嫌味ば

っか言っちゃうの。

「ぼっちかよ。帰れば?」

 嫌味っぽく言う航太に、素直にイラつ

いた。ギロリとにらみつけて冷たく言い

放つ。

「うっさいな」

 そう言ってすたすたと歩く。

 航太には見えなかったのだろう。紅音

が目に涙を浮かべていたことに。

 それから十分後、耐えられなくなって

家へと帰った。

 悔しくて悲しくて、どうにかなりそう

だった。