泣きそうで、ここから逃げたくなっ

た。

 その時、翔が疑問形に聞いてきた。

「南条って、航太のこと好きなの?」

 答えに詰まる。なんていえばいいのか

分からなかった。ここできれいサッパリ

言っちゃえば良かったのかもしれない。

 でも私にはそんな勇気がなくって。


「ち、違うよっ!!」


 言ってしまった。怖くて航太の顔が見

れない。

 ・・・いるのに。本人が、航太が、い

るのに。ヘマした本人が、深央加が、い

るのに。なのに、臆病だなぁ・・・。

 ダッと、駆け出す。ここにいたくな

かった。一分一秒でも。

 もうヤダ。こんな自分も、こんなこと

した神様も。