「涼斗君?まだ帰んないの?」

 ん~、と背伸びをしてから、ニッと

笑って答える。

「南条に話したいことがあるんだ」

 さらっと言った涼斗君は、少し顔を赤

くしている。

 爽やかだなぁ・・・。

「あのさ、好きな人いる?」

 へ?何その質問。

 何となく恥ずかしっくって答えたくな

かった。涼斗君ならきっと誰にも言わな

いだろうけど。

「言いたくないから」

 できるだけ冷たくならないように言っ

たけれど、その返事を聞いた涼斗君は、

口を尖らせる。

 そそくさと逃げようとする私を逃がさ

ないように、壁に手をつく。

 これって、か、壁ドンってやつ?

「何で逃げんの?」

 前言撤回。涼斗君って爽やかじゃな

い。何か、怖い・・・かな?