「おい、ちょっと来い」

 そう言って制服の裾をつかまれる。

 あ~れ~、みんな助けて~。

 そう思いながら、廊下の突き当りに

連れ出される。

 ここは人通りの少ない。だから誰も

いなかった。

「あのさ、何の用?私戻りたいんだけ

ど・・・」

 そう言いながら胸はドキドキしてい

る。何だろう。何の話だろう。

「・・・お前、昨日帰っただろ。」

 へ?そりゃ、帰ったけど、だから?

「だから何?」

 眉をひそめて聞く。手はなぜか震え

ていた。

 その様子を見た航太は不機嫌そうに

話し始める。

「何で帰ったんだ?それに昨日、余計

なこと言うなって、深央加に言ったよ

な。あいつあの後落ち込んでたんだ。

あとで謝っておけよ?」