「＂あっ＂て、何？」

「な、何でもない」

「噛んでるし。変な話、してたんでしょ？」

「してないよ」

「じゃあ、言って？」

「忘れた」

「分かった。もういい。帰ったら聞くから、父と母に」

「えっ、聞くのか？」

「聞く。裕くんがそんなに慌てるなら、なおさら聞く」

　参ったなあ……

「あっ」

　今度はふゆみが、「あっ」と言った。まさか、俺が両親に何を言ったのか、気づいたとかか？　と、一瞬焦ったのだが、

「私、水族館に行きたい。ダメかな？」

　違ったらしい。

「いいよ、行こう」

　俺も水族館は好きな方だから、全く問題ない。茨城に気になる水族館があるので、そこへ向かう事にした。

「初めてのデートよね！」

「あー、確かに」

　初めてのデートでプロポーズするって、アリかな？

　なぜなら、今朝、ふゆみの両親に俺が言った言葉を思い出したから。確か俺は、こう言ったんだ。

＂お嬢さんのふゆみさんを、私にください＂と。

　本人の許可もなく。だから俺は、ふゆみがそれを聞く前に、＂本人の許可＂をもらおうと思う。

　プロポーズをして……