12月の第3水曜日。定例の同期会の日だ。

 俺は丸坊主に……なってない。そうしようかとも思ったが、その勇気がなかったんだ。

 今日の会場は、10月と同じイタリア料理の店で、幹事は速水だった。

 俺の隣はふゆみ、ではなく、上原と岡野。つまり2人に挟まれてしまった。ふゆみは、理由は知らないが欠席らしい。

 あれからふゆみに会ってないし、連絡も取っていない。今日は、せめて顔だけでも見たいと思ったんだ。女々しいけれども。

「ねえ、なんで桜井さんは欠席なの?」

「知らねえ」

「知らねえって、もしかしてゲームはやめたの?」

「うるせえなあ。ふゆみの話はするな!」

 上原に、俺はつい怒鳴ってしまった。すると上原は、目を大きく見開いた。そして、反対側の岡野が、

「あんた達って、呼び捨てで呼び合う仲になっちゃったの?」

 と言った。突っ込むの、そこなのかよ……

「悪いけど、"桜井さん"の事は聞かないでくれ」

 俺はそう言うなり、だんまりを決め込んだ。上原や岡野に愚痴を聞いてもらいたい気持ちが、なくはなかったのだが。

 ああ、帰りてえ……