2日後、直弥はアメリカにいる妻のところへもどっていった。

今度日本へもどってくるときは、親子3人で新居に住むのだろう。



それにしても、一番驚いた現実・・・。

享祐の富豪たるや、すごすぎる!


お金持ちなんだということはある程度はわかっていたが、日本いや、世界のトップクラスに入るほどのお金持ちだということは知らなかった敦美は、享祐と学校以外で会うことをやめてしまったのだった。




「敦美ちゃん・・・享祐から伝言を受け取っちゃったんだけどさ・・・電話に出てくれないか?と夜に会ってくれないか?とせめて目を合わせてくれないか?の3つの返事よろしく~!」


「じゃ、冬弥兄様が返事しておいて。
先生から学校のこと以外で電話をもらうような用事なございません。
だから私用で会ったりしません。
目を合わせるか合わせないかは私の勝手です。以上よ。」


「なぁ、どうしてそうなるんだ?
敦美ちゃんは享祐といいコンビって感じだったじゃないか。

直弥兄さんより、享祐を取った方がいいって俺もずっと思ってたんだぞ。
優しいし、エラそうじゃないし、お金持ちだしさ。
いいことづくめじゃないか。」


「それが嫌なの。
そりゃ、お金がない生活がどんなにみじめなものかお前はわかってない!って怒られることの方が多いとは思うけど、嘘はついてほしくなかった。

せめて正直にいってくれてれば、私・・・。
なんかみじめな気分よ。

私ひとりくらいなら生活させてあげられるからって・・・何よ、何万人もお世話できちゃうんじゃない。
嘘ばっかり・・・。
私はただの女子高生。
学費と生活費を出してもらって、あとはアルバイトしてる女子高生なんだから。」


「そうだな・・・。敦美ちゃんはもっと学生ライフを楽しんだ方がいいな。
大金持ちの仕切る場を夫にかわって切り盛りするには10年はかかる。

それに享祐が敦美ちゃんにそれをさせようなんて、無理に決まってる。
俺だって高校生のときは、どの娘を誘ってライブに行こうなんて遊ぶことばっかり考えてたもんな。

そうだ、イライラ解消にさ、兄ちゃんとライブハウスへ行ってみようか。
そのあとは、ワイルド系な食事でもしてさ~!」


「いいねぇ。でも・・・私お金ないし。」


「その程度なら兄ちゃんに任せとけって。
じゃ、明日の夕方6時に駅前で待ち合わせな。」


「うん。ありがとね・・・冬弥兄様。」


「気にするな。兄ちゃんも落ち込んでる妹の元気を取り戻せる協力は惜しまないからな!」