文化祭の前日の夜、敦美は久しぶりにパソコンでラッキーのチャットへと立ち寄った。


ジョディ「ラッキーさん、いる?」



ラッキー「やぁ、久しぶりだね。元気だった?」

ジョディ「はい、おかげさまで。
じつは明日、私の学校で文化祭があるんです。
そこで私、最後の出し物の仮面舞踏会で眠りの森の美女をやるんです。」


ラッキー「へえ、主役じゃないか。あ、でも王子様にキスされて目覚めるのかな?」

ジョディ「それはね、風紀担当から却下されちゃって、シナリオ変更で大福にキスして目覚めることになったの。
だから、思いっきりパクリと食べてやりますよ。」


ラッキー「あはははは。それはすごい食いしんぼ美女だねぇ。
それだけが要件じゃなさそうだけど・・・。なんかうれしそうだ。」


ジョディ「わかります?じつはアメリカで傾いた会社を何とかするためにがんばるって出ていった兄が、日本で仕事をするようになって、文化祭の最後のころに兄が迎えにきてくれて、兄妹3人で食事することになったんです。」


ラッキー「お兄さんが日本で仕事をすることになったの?」


ジョディ「はい。次男の兄からそう連絡がありました。
会社はこじんまりになったみたいだけど、政略結婚とかすることなく切り抜けたそうなんです。

また、兄妹そろって日本で会えるなんて久しぶりで楽しみです。」


ラッキー「そっか。よかったね。学校に迎えにきてくれるの?」

ジョディ「そうみたいです。私の仮装を見てみたいとかで。」


ラッキー「ところで、先生やっている彼氏とはあれからうまくいってるの?」

ジョディ「ええ、まぁ。ここのところ、先生は仕事が忙しかったり、私も行事とか部活で忙しくて、あんまりプライベートではあえてないんですけどね。
でも、先生の幼なじみの先生がいて、あまりベタベタ会わない方が、うまくいくというものだ・・・ってアドバイスされたりして、それもそうかなって思ってます。

クラスでは毎日顔は見れますから。」


ラッキー「君はそれで満足なの?」

ジョディ「満足とはいえないですけど、私が高校生やっている間は忙しい方がいいのかなぁって思うことも多いし、暇があってもいろいろと考えちゃうじゃないですか。

とくに先生にキスされたりすると、その日は眠れなくなっちゃうんだもの。しんどいですよ。」


ラッキー「そういうものかな。俺は生徒の彼女いないからよくわからないけど。」


ジョディ「私は眠れなくなっちゃいますよ。
ほんとに眠れる森の美女になりそうですって。

それに寮の同室の先輩が、彼と会うならってオシャレの仕方とか教えてくれるんですけど、なんか私と趣味が違うっていうか、ハデめで・・・うまくことわるのも大変で。」

ラッキー「あははっはは。それは大変だね。」

ジョディ「ラッキーさんと今夜話せてよかったです。緊張がいくらかとれた気分です。
私、今日は早く休んでおかないと・・・じゃ。」