「それでもお客様が私の存在を否定し、この世にあってはならない害虫と見なすのであれば、私は死を選ぶべきなのでしょうか。ならばそう致しましょう。が、旅は道連れ世は情けという言葉があります。ぜひお客様にも死の旅にご同行願いましょう。
私もお客様という害を駆除したい気持ちがあり、互いが互いの存在を否定する。ならばここは共に参りましょう。さあお客様、お立ち上がり下さい。私と共に死に場所を探しましょう」
早川は男の腕を引っ張ると共に、首元にナイフを食い込ませるように手に力を入れる。
抵抗すれば自分がどうなるのか。冷静に考える暇もなく、恐怖を突き付けられた男には、それが限界だった。
「いやッヒアッア」
情けない悲鳴を上げながら震える体を、少しでも早川から離れようと無理矢理動かす。その様子を見て、早川は僅かに腕を掴む力を緩める。
男はズボンのポケットから財布を取り出す。目は早川から反らせないため手つきが覚束ない。



