早川彩澄の華麗なる日々


早川が苦手とする痴話喧嘩だ。しかも、特殊なケースの。ファミレスでの痴話喧嘩の対処は経験あるが、当事者に店の従業員がいるのは初めてのことだ。話を聞く限り、爽太という名の男が元凶なのだが、自分は何をすれば良いのだろうか。


「邪魔しないで下さい早川さん。これは私達の問題なんだから」


早川の存在に気付いた栗山がそう告げる。早川のことを知っているにも関わらずそう言えるとは、余程我慢することが出来ないのだろう。


「判りました。ではそうしてください、店の外で。――お客様、失礼致します」


言うが早いか早川は膝を曲げて軽くしゃがみ、爽太の腹部に腕で当身を一発食らわせる。「グフッ」と呻いて膝をつく爽太。静まる二人。早川は女性に向かって一言述べる。


「喧嘩は外でお願い致しますお客様」


そして栗山に向き直り、彼女にはこう告げた。


「栗山さん。私が店長に言っておきます。外でやるというなら煮るなり焼くなり轢き殺すなりしてケリをつけて下さい。――では、まずこのお客様を運び出しましょう」


《丸投げではなく最善策です》