早川彩澄の華麗なる日々


「申し訳ありませんでした」


思わず「え?」と小さな言葉を漏らす仁科。彼の予想では、早川は客に対して正論を説くか、強制的に店の外へと連れ出すかをするはずだった。


だが、早川は客に対して謝罪を続け、誠実に対応をしている。


「…………」


迷惑な客を野放しにするというのか。そう思うと不満が募るが、仁科には早川のように行動に移せる能力や勇気はない。


早川の対応の結果、最後に仁科から謝罪の言葉をもらうということで決着がついた。勿論、本人は納得いかない。


「どういうことですか」と早川に問い詰めるように訊いたのは、仕事終了後のことだった。



「何で俺が謝ることになったんですか?あんな大声で騒ぐなんて、迷惑でしかないじゃないですか。どうして追い出さなかったんですか?」


今日の分の仕事が終わり、帰るだけとなった仁科は、休憩室に入ってきた早川に問い質す。